2009年11月29日日曜日

Hydromorphone について

11/28 (土) 一日中雨
現地の人によると、例年はいつもくもりがちで時々雨が降る感じだが、今年はしっかり雨が降っているとのこと。

日本とカナダの麻酔の違いの一つとして、使用している薬物が異なることを挙げることができる。
日本でレミフェンタニルやロクロニウムを使うことができるようになったことで少し麻酔が近づいたとは思うが、こちらの臨床でよく用いられるハイドロモルフォンが日本では使えないことは、依然として大きな違いということになると思う。

ハイドロモルフォンは静注にも硬膜外にも用いられるが、今は自分で麻酔をかけているわけではないということもあり、薬物に対する患者の反応を実感としてつかみづらい。
レジデントに訊ねられるたびに「日本では使っていない」と答えるのだが、すると彼らは嬉しそうに説明してくれる・・・というのが常である。

モルヒネと対比して少しハイドロモルフォンについて調べたので、備忘録として残しておく。
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Liu LL et al. Postoperative analgesia and sedation in the adult intensive care unit. Drugs 2003; 63: 755-767. より

術後の鎮痛にはエビデンスには欠けているものの、短期間の使用にはフェンタニルやハイドロモルフォ
ン、長期間の使用にはモルヒネやハイドロモルフォンがすすめられる。(ハイドロモルフォンはどっち
にもいいらしい。)

排泄半減期はモルヒネとハイドロモルフォンは同等(2~4時間)。
静注した場合の Peak effect はモルヒネ 30分、ハイドロモルフォン 20分。
最小推奨量は、モルヒネ 1-4 mg ボーラス、1-10 mg/h 持続、ハイドロモルフォン 0.2-1 mg ボーラス
、1-2 μg/kg/min 持続

モルヒネ
水溶性のために脂溶性のオピオイドとくらべると peak effect が遅い。
静脈拡張作用と心拍数減少作用がある。
副作用:呼吸抑制、鎮静、悪心、イレウス、Oddi 括約筋のスパズム、ヒスタミン遊離から低血圧、頻
脈、気管支のスパズム。
代謝物としての morphine-6-glucuronide が蓄積し、腎不全患者で過度の鎮静をもたらすことあり。

ハイドロモルフォン
半合成オピオイドで、モルヒネの 5-10倍強力。
作用のオンセットと持続時間はモルヒネと同等。
血行動態に与える影響が小さく、ヒスタミン遊離をもたらさない。
モルヒネよりも掻痒、鎮静、悪心、嘔吐を起こしにくいとする報告 (Sarhill N et al. Support Care Cancer 2001; 9: 84-96) あり。
モルヒネと同様にグルクロン酸抱合を受けるが、NADPH reductase の還元も受け、2つの活性代謝産物を生じる。
この代謝産物は親化合物よりも強力な鎮痛作用を持つが少量のため、腎不全の合併や長期間にわたる大量の投与がない限り、臨床的意義はない (Zheng M et al. Xenobiotica 2002; 32: 427-439)。

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